どうも、うつ病の診断を受けているほっしーです。
精神医学に限らず、どんな医学にも陰謀論者はいるものです、
精神医学は特にこういう声が大きいんですよね。
Twitterのフォロワーさんにアンケート取らせてもらったんですが、なんとなく疑っちゃってる人も多いようで…。
あなたは精神科医療を信用していますか?
— ほっしー (@hossy_fe_ap) 2017年10月14日
ちなみにこの記事の立ち位置は、陰謀論を推奨するものではありません。
私はどちらかといえば、精神科医療を信じています。
精神科医療寄りの中立って立場ですね。冷静に物事を見る目も持ちたい。
で、なぜ精神医学が疑われやすいのか、陰謀論者がよく攻めてくる口実と精神科医が書いた本の引用を照らし合わせてみました。
陰謀論に煽られて不安になってる人の参考になればと思います。
ただ、最初に結論を申し上げておくと…
人によっては私が陰謀論を肯定しているように映るかもしれません。
ただ再三申し上げますが、私は精神科医療を信じている側の人間です。
それは以下の経緯があるから
- 精神科医療を疑い、抗うつ剤を勝手にやめた
- 体調が悪化し、抗うつ剤を再開すると回復した
- 精神科に通って回復した同士を知っているから
根拠として弱いですが、事実救われているのでね…。
この記事はあくまで、精神科医療を信じている人が書いた陰謀論に対する客観的な意見だと思って読み進めてください。
なぜ精神医学は疑われやすいのか?
1.「診断方法が問診のみで主観的じゃないか!嘘っぱちだ!」という意見
精神科医が私たちをうつ病と診断するのは、主観でしかありません。これは事実です。
検査法が開発されていない現在、医師たちは、こうしたさまざまなうつ状態の原因を、症状、経過、また患者さんの話す内容などから、「推定して」診断するしかない。
はじめて精神科を受診するとびっくりするんですよ。
え…血液検査も脳のCT撮ったりもせずに、会話だけでうつ病って言われたぞ…
だから、最初は信じられないんですw
医師の経験と勘に頼っている医療。
雑に言えばそんな感じでしょうか。
これは、引用したように、まだうつ病は解明されていないので仕方ないといえば仕方ないのです。
客観的な診断方法がないと、診断してはいけないということだと、現在精神疾患の人たちはどうすればいいんしょうか。
主観的な診断であれ、薬を処方されて救われている人がいることもまた、事実なのです。
ちなみに、血液検査でうつ病わかるんじゃね? って研究は着々と進んでます。
そのうち改善されるかも…
≫うつ病が血液検査で診断できる時代に! 詐病を見抜くことは患者の幸せにつながるのかな?
2.「抗うつ剤全然効かないじゃん! 薬の効果ないよ!」
うつ病に処方される抗うつ剤は、基本的に幸せホルモンと言われるセロトニンを増大させて気分を安定させることを目的としています。
しかし、動物実験で結果が出ていても、人間には効果が薄いようです。
セロトニン不足がうつ病の原因であり、抗うつ薬はセロトニンを増加させることで気分を改善させるというなら、抗うつ薬が効きはじめた数時間後には、気分が改善してよいはずである。
なのに、どうして抗うつ薬が効くのにこんなに何日も何週間もかかってしまうのだろうか。
精神科医が書いている本に「なんでかな〜?」って書いてるわけですからねw
まぁまだわかってないことが多いんでしょう。
さらにさらに、こんなデータもあります。
十三年間にわたる臨床試験データを調べた結果、五六%の研究で、代表的な六種類の抗うつ薬について、服用した場合の改善率が、プラセボ(偽薬)を服用していた場合の改善率と差がないことがわかったというのである。
(中略)
データを解析した結果、改善効果の八〇%は、プラセボ効果による心理的効果であると結論づけている。
引用:うつと気分障害
数字で示されるデータって説得力あるんですよねぇ。
こうしてみると、インパクトがすごい。
なぜ効かない抗うつ剤を飲み続けなければいけないのか?
と思ってしまう人が増えても不思議ではありません。
でも不思議なことに、抗うつ剤が効かねぇ!って言って断薬や減薬をすると体調を崩す人が多いんですよね。
だから、安易な断薬、減薬は絶対にやめてくださいね。
3.「抗うつ薬ができた経緯ってたまたま効いたからなんだよねw」
これも事実です。
長いですが、最初の抗うつ薬発売のきっかけのエピソードを引用します。
薬物が開発されるのは、戦後の1950年になってからのことである。
この年、フランスの海軍外科医、アンリ・ラボリは、術後ショックを緩和する薬物を求めて、製薬会社ローヌ・プーランのラシャルパンティエによって合成されていた抗ヒスタミン剤クロールプロマジンに着目した。
しかし実際に試用してみると、患者は意識を失うことなく自律神経症状が効果的に抑制されることから、精神科での応用を提言し、パリ大学病院のドレーらに臨床試用を勧めた。
それまでは幻覚や妄想に対しても催眠剤や鎮静剤が用いられるだけであったが、この新しい薬の効果は大きく、精神病院の雰囲気が一変したと言われる。
1953年にはカナダやアメリカでも臨床試験がはじまり、1954年に製剤化されて発売された。
なんか、別の目的だったのに、抗うつ効果あったわ(笑)
雑にいえばこういうことになります。
- うつ病の原因は◯◯とわかったから、動物実験をしよう
- あ、やっぱりこの薬でうつを防げるみたいだな!
- よし、人間に副作用がないかもチェックしよう!
薬が作られる工程ってこんな感じのはずですが、抗うつ剤については、ちと違うんですよね。
そもそも、うつ状態もはっきりと定義できてるわけじゃないので、
動物のうつ状態、どうやって作んの?って話もあるわけですw
いろいろと不確定要素が多すぎるので、陰謀論者に攻撃されやすいところですな。
4.「SSRIが処方されだしてから、患者数増えたよね!製薬会社と精神科医の陰謀じゃん!」
抗うつ剤にはいろいろと種類があるのですが、中でも人気なSSRI。
比較的、副作用が少ないと言われているんです。
私の実体験としても、SSRIのレクサプロという薬に変わってから、副作用はずいぶん楽になりました。
≫レクサプロの副作用実体験6つ ほかの抗うつ剤よりはマシかな
厚生労働省の統計によりますと、日本の気分障害(大部分はうつ病)患者数は1996年には43.3万人、1999年には44.1万人とほぼ横ばいでした。
しかし、同1999年にSSRIが認可されたのをきっかけに、2002年には71.1万人、2005年には92.4万人、2008年には104.1万人、2014年には111.6万人と、2倍以上に著しく増加しています。
SSRIの処方解禁と同時にうつ病患者数が急激に増加しており、薬そのものが医師の診断に大きな影響を与えていることの証拠とみてよいと思います。
ちょっとわかりにくいのでグラフで表示してみましょう。
このSSRIが初めて日本で使用可能になったのは1999年のことです。この新薬の登場は医学界にすさまじく大きなインパクトを与えました。
それまでの抗うつ薬は副作用(眠気、口渇、便秘など)がかなり強く、使いこなすのにかなりの経験と知識が必要で、最大限の注意を払って処方したとしても、軽度から中等度の副作用は避けられないものでした。
しかし、SSRIには軽度の吐き気を中心としたわずかな副作用しかないことから、うつ病治療に大きな福音を与えることになりました。
医師の書いている本にこう書いているぐらいです。
副作用がわずかであるなら、それほどうつ病に見えない人にも、とりあえず処方しとこってなるかもしれませんよね。
薬を処方するには、診断が必要ですから、うつ病を始めとする気分障害が増えることは当然のようにも思えます。
薬を安易に処方することが良いか悪いかは置いといてねw
ただ、SSRIはアクティベーションシンドロームを隠蔽していたぁ!なんて話も出てきます。
SSRIがうつ病や不安障害の臨床に果たした役割は否定できないが、SSRIの離脱症状や、不安と不眠、焦燥感、パニック発作、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア、軽躁、躁などの惹起すなわち中枢刺激による activation syndrome の頻度や症状の強さは処方する医師の予想以上であるにもかかわらず、十分な情報開示と適切な対策が取られなかったのも事実である。
アクティベーションシンドロームというと聞きなれない言葉かもしれません。
双極性障害であれば「躁転した」と言われる出来事に近いかな。
元気の底上げのはずの抗うつ剤が、元気すぎる超絶ハイな状態になって患者を不安定にしてしまうというもの。
最近では、双極性障害の人が抗うつ剤のみを処方することは危険ということがスタンダードになってきてるようです。
ただ、躁転に関してはSSRIよりも三環系(旧来の薬)のほうが危険性はあるようですがね。
潜在的な双極性障害の方における、躁転の問題に関しては、SSRIよりも三環系の方が躁転の危険性があることは、データにより示されている。
陰謀論はなんとなくそれっぽく聞こえちゃうんだよね
結論としては、頼りなくて申し訳ないんですが、精神医学が絶対に正しくて、陰謀論はクソだ!と断罪することは難しいです。
- 科学的根拠が乏しいのは事実
- 薬が作られた経緯も史実としてアレ
- 診断方法が今のところは医師の主観
- ここには書いてないけど精神医学の歴史は黒い、黒すぎる
精神医学の歴史については、下記の本が一番客観的でした。
ホロコースト、優生学、精神医学の関係性のところは、特にエグくて、一般の読者にもわかりやすいように書いたと説明があったけど、うつ病の人は読まないほうが良さそう…w
内容は至って俯瞰的かつ客観的かつ資料的で面白いんですけどね。
— ほっしー (@hossy_fe_ap) 2017年10月14日
うつ病って、一般的な認識よりも治るのに時間がかかるんですよ。
よく聞く話だし、私もそうです。実際に調査してみると、長期化してる人のほうが多いしね。
≫治るけどすぐには治らない? うつ病が寛解(完治)するまでの期間について
不安が募っている時に、精神科医と上手くコミュニケーションが取れていないなどの外的なストレスが重なると…。
陰謀論についつい乗っかりたくなっちゃうんですよ。
心が弱い時に詐欺師が漬け込むそれですな。
冒頭でも触れましたが、私は実際に陰謀論に振り回されてみて断薬した経験があります。
で、体調悪くなって薬再開したら効いたので、精神医学を信じることにしました。
≫レクサプロの断薬を精神科医の忠告を無視して勝手にやってみた結果…
それでも、冷静な目は持っていたいので、医療絶対信仰してるわけじゃないですけどね。
さいごに:真実は中庸にあり
どっちにも偏るの良くないって意味です。
なんだってそうでしょ。健康にいいからって野菜ばっか食べないで肉や魚も食べたほうがいい。
どんな世界の陰謀論にも、もしかすると事実もあるかもしれません。
そういうこともあるかもしれないねー(笑)
と、エンタメ的に楽しむのがいいでしょう。
将来どっちに転んでも、精神科医療に頼るしかないじゃないですか私たちは。
わざわざブログに陰謀論を紹介したのは、冷静な判断をして欲しいと思ったからです。
精神科医との関係がうまくいかず、福祉関係の書類もうまく書けなくて自暴自棄になる人いるんですよ。
そんな時に吹き込まれたりしたら、フラッとカモにされちゃうかもしれません。
何も精神医学に限った話じゃありません。
この世の中は、大金持ちの陰謀通りに経済が動かされている…!なんていう陰謀論もあるんです(笑)
どこにだって、「それっぽいミステリー」はある。
冷静に、冷静に生きましょう。
精神科医療も日々研究は進んでいます。
インターネットで双方向に情報が飛び交う時代です。
陰謀論めいたことを積極的に受信するか、精神科医療の進化を積極的に受信するか、
それはあなたが決めることですが、私は後者をオススメします。
陰謀はどこまで行っても陰謀なんです。不安しか煽りません。
精神疾患になると、特に冷静な判断ができなくなりがちなので、冷静な目を持ってもらいたいと思います。
何度も言ってますが、急な断薬だけは絶対にやめてくださいね。
病気なんて存在しない! 医者と製薬会社の陰謀だ!