どうも、メンタルヘルスブロガーのほっしー(@HossyMentalHack)です。
大切なあなたの家族が鬱病にかかってしまった場合、どのように対応するのが良いのかわからないでしょう。
わたし自身がうつとなり、実家に帰ってきてからの数ヶ月間、家族に迷惑をかけました。
当時のことを家族と振り返ることがあるのですが、家族はこう言っています。
患者目線から見れば、これは半分正解といったところ。
贅沢を言えば、もう少しこうして欲しかったなぁと思う部分もあります。
とはいえ、本人も精神のコントロールがままならない病気ですから、他人がそれを理解しようとするのは難しすぎるでしょう。
今回は、うつ病にかかって実家に戻ったわたしと苦心しながら良い環境を使ってくれた両親の経験をもとに、家族がうつ病にかかってしまった場合の対応についてまとめます。
うつ病の治療は精神科医と本人と家族のサポートがあってこそ成り立つもの。
対応の仕方を知っておくのと知らないのとでは雲泥の差です。
家族がうつ病になったらどうする!?あなたが気をつけるべき16の対応
1.安心できる環境を作ってあげる
うつ病になってしまうとひとり暮らしは無理です。
ほとんどのひとが実家で静養することになります。
人生に絶望し、やつれた様子であなたの大切な家族が帰ってくるかもしれません。
全てに対し悲観的になっている状況で、安心できる環境があることが何より大切。
それができるのは家族だけなんですよ。
できれば一人の部屋を用意してあげられると最高です。
わたしも家族に救われていることは間違いありません。
ですが、どうしてもうつ状態がひどいときはひとりになりたいんですよ。
一人の部屋があるのとないのとではまったく違うでしょうねぇ…。
2.規則正しい生活は難しいので、せめて日当たりのサポートを
うつでつらいときは、まず休むことが優先されます。
が! 抗うつ剤の副作用と日内変動で朝や昼は起きられないことに。
と、担当医からは酸っぱく言われるので、本人は朝しっかり起きられない自分を責めてしまいます。
家族のあなたは、朝起きられないことを責めるのではなく、患者が活動できる夕方にスポットを当てるようにしてあげてください。
また、日当たりの良い部屋を確保できると、夕方から活動をするとしても自動的に太陽の光を浴びられるので良いです。
そりゃ外に出るのが1番ですが、体調が悪いときはベッドから出られないので、ベッドのなかでなんとか太陽光を浴びるようにしましょうw
3.少しの間、下手したら長い間、ぐうたらな生活に目をつむる
うつは急速に悪くなります。ほんと、昨日まで元気だったのに急にガクッと落ちるんですよ。再発に関してもこれは同じです。
うつでどん底まで落ちると、誰が見てもとんでもなく、ぐうたらな生活になります。
きっとそう思ってしまうでしょうが、目をつむってあげていてください。
うつ状態がひどいときは、お風呂に入ることも重労働になってしまうのです。
わたしはよく、うつ状態はインフルエンザのときと同じだと表現します。
インフルエンザのときにお風呂に入る気力ありますか?
見た目にはわからないかもしれませんが、身体が重たくて仕方がないのです。
うつが最もひどいときはベッドに押さえつけられているような感覚だった。
地球の重力が何倍にも強くなったような。
「うつグラビティ」
— 星野 良輔 (@hossy_fe_ap) 2016年7月27日
精神健康な大学時代と比較して行動力も思考力も体のだるさも劣化したのは、きっとうつグラビティのせいだ。重力加速度g=9.8m/s^2に対して、u=980m/s^2くらい違う。
— Hitoshi Wakui (@wahidesu) 2016年8月11日
4.うつ病は絶対に励ましてはいけないの?
そんな話を聞いたことがありませんか?
患者の立場から言えば、「絶対」ではないと思います。
根性論的な励ましは厳禁ですが、うつが回復してきて社会復帰を目指そう! という段階であれば、励ましてほしいという気持ちも芽生えてきますよ。
つまり、状況によるんですよ。
うつがひどくて寝たきりの状態のときは励ましてはいけません。
元気が出てきたら少し背中を押す。
この感覚は難しいところかもしれませんが、プレッシャーをかけないことが大切です。
5.内容は理解できなくてOK! 話を聞き、共感してあげよう
うつが深くなると、視野が狭くなり周りが見えなくなります。
人と関わることが怖くなる一方で、誰かに話を聞いてもらいたいという気持ちもあるんですよ。
言ってしまえば、超めんどくさいネガティブな人間になります(笑)
話を聞いてもらえる存在が必要です。
ただし、聞いてもらったからスッキリするというものではありません。病気ですからねぇ…。
聞いてもらえないと症状が悪化する恐れが…いやぁ、すごいわがままなことを言ってるのはわかってるつもりです(笑)
6.攻撃的な態度をとられた場合も冷静に対処してほしい
また、うつ病のひとが家族に攻撃的になるかもしれません。
しかしそれは、病気がなせる技なのです。
うつ病というのは、落ち込んでいる状態だと思っている人にとっては「この人って本当に、うつ病なの?」と思うことがあるかもしれません。
見るからに落ち着きがなく、文句ばかり言い出す人もいます。焦燥感から、いてもたってもいられなくなり、周りに当たり散らしたりするケースも珍しくありません。
最近ではいろんなタイプのうつ病が増えています。
新型うつ病と言われる人の中には、実は双極性障害だった…! というパターンもあるんですよ。
≫双極性障害とはどんな病気?当事者の私がすべてお答えします。
大切なひとであるあなたを攻撃してしまったあと、本人はめちゃくちゃへこんでいるのです。
自分ではどうすることもできないんですよ。
感情が暴走してしまって。逆に感情がまったく芽生えないこともあります。
と、冷静に対処してもらえるとありがたいです。
7.ときには家族のあなたも「休んで」くださいね
無理して患者の相手をしすぎることに注意してください。
だれだってネガティブな言葉を連続で投げかけられると疲れるものです。
共感は大事ですが、家族がうつになってしまっては本末転倒。
なんて考えたくもなってしまうかもしれません。
しかし、何度も言っているように、病気だからそういった態度をとってしまうんです。
残念なことに、家族の協力は必須でありながら、家族ができることは小さなことばかりです。
助けてあげるという意識よりも、ストレスを与えないという意識レベルぐらいでちょうどよいのかもしれません。
患者としては協力を仰いでおいて申し訳ないところなのですが(笑)
8.どうしてうつ病になったの? と、原因は探らないようにしてください
なぜうつ病になるのか? いくつかの有力な説はありますが、ハッキリとした原因はわかっていないのです。
これが原因! というよりも、複数の要因が絡まってうつ病になっているひとがほとんど。
わたしもいくつか心当たりはあります。ですが、絶対にコレといえるものはないのです。
薬によってうつが回復すれば、原因にも向き合わなければいけないこともあるでしょう。
ですが、思い出すだけでつらいこともあります。
いずれ本人が向き合う気が起きるまでは、原因を探求しないであげてください。
9.ほったらかすけど疎外はしないというワガママな距離感を許してあげてほしい
患者の立場からワガママにいわせてもらえれば
というのが本音です。
自分のネガティブな話を全力で聞いてほしいけれど、他人の話を聞く余裕はないのです。
ほんと、なにいってんだ? って感じですよね(笑)
でもこのワガママな距離感を許してくれる環境があれば、ずいぶん違うと思います。
10.体調をいちいち聞かない
うつ病というものは、急性期にはズドーンと一直線に落ちていくくせに回復は波打ちながら回復していきます。
本人はあたりまえですが、周りも一喜一憂しないことです。
今日できたことが、明日はまたできなくなるということもよくあることだ。
ところが、直線的な回復を予想している周囲は、昨日できたことが今日できないと明らかに不満の表情をしてしまう。
「怠けているだけじゃないの。」その無言のアピールが、本人を苦しめる。
引用:うつからの脱出
うつは脳の病とわかっていても、どうしても「気分のせい」に見えることが多いのです。
外傷が見えないので、ちょっと回復したら直線的な回復を期待しちゃうんですよね。
家族のあなたがハッキリと落胆を示すと、患者は敏感に感じ取ります。
11.あくまで普通の人として扱う
これはうつ病に限らず、精神疾患者全般に言えることなんですが、特別扱いされることを嫌います。
うつ病の診断を受けたばかりの頃は、病気を受け入れられないので、特別扱いをされるだけで怒るかもしれません。
うつ病は治る病気だと考えて、今は静養しているだけ。風邪を引いたときと同じようにいたわる程度に扱ってもらえればと思います。
なぜまわりの人は、患者を特別扱いしてしまうんでしょうか?
それは、うつ病に対しての知識が圧倒的に不足しているからにほかなりません。
精神疾患は、客観的にどこが悪いんですと説明できない病気で、理解されにくいもの。
ついつい怖がって腫れ物を触るように扱ってしまうでしょうが、勉強してみるとそんな特別扱いする必要が無いことが分かってきます。
12.うつ病の家族の接し方について自分で勉強してみる
うつ病については多くの本が出ています。
たくさんのうつの本をむさぼるように読んできたわたしが、おすすめの本をまとめているので、参考にしてください。
≫うつライターのわたしが教える!うつ病のことがよくわかるオススメの本14冊まとめ
うつ病人への接し方については、専門家が書いた本よりも、当事者が書いた本のほうがいいでしょう。
教科書的に正しい接し方が万人に共通しているわけではないのです。
うつになったそれぞれの背景事情から対応の仕方は変わってくるでしょうからねぇ。
13.知識がついても、下手にアドバイスはしない
安心できる環境作りが1番です。
うつ病ではない人からのアドバイスはうっとうしいだけ。
視野が狭くなっているので、他人のアドバイスなど受け入れられません。
たとえそれが正しいことだと理解できても、気持ちが追いつかなければ自分の非を正当化するのです。
規則正しい生活をして、太陽の光を浴びることが大切だよ
なんて言われたってそんなことは知ってます。精神科医からも耳にタコができるほど言われているので。
わかっているのとできるのとでは違うのです。
14.様子を見ながら簡単な作業を任せてみる
急性期が終わって回復する期間に入ると、少しだけ動かした方がいい場合もあります。
うつ状態でなにもしていなかったので、患者は大きく自信をなくしている状態にあるので、簡単な作業を任せてみるといいでしょう。
例えば、掃除や洗濯、簡単な掃除などですね。
できると思って一気に作業量を増やさないように上手にコントロールしてあげてください。
1段ずつ成功体験を重ねさせることが重要です。
うつ病になったからと言ってすべてがダメになるわけではなくて、自身をなくしているだけなんですよ。
自信を取り戻すことができれば、自然と体力や精神力も戻ってきます。
とにかく、根性論的にならずに、牛歩のごとく自身を取り戻してあげることが大切です。
15.うつを1つの個性として捉えてあげる
「うつを乗り越えようと思わなくてもいいじゃないの。うつも個性のひとつでしょう」とも言ってくれました。
すごくうれしかったです。 幸せの基準は、人それぞれ。自分の心に正直に生きることなのですね。やっと気づきました。
患者も家族も、うつを異常な状態だとみなして無理に乗り越えようとするから疲れてしまうんです。
もちろん仕事に支障が出るので、ある程度は治さなければなりません。
しかし、うつ病は心の叫び。身体が限界を迎えたサインでもあるんですよ。
周りの元気な同世代と自分を比較すると、自分はなんて劣った生き物なんだ…。と、ひどく歪んだものの見方をしてしまいます。
あなたの憧れる他人に変われたとしても、その他人も誰かに憧れているんですよ。
つまり、他人と自分を比較することは、永遠に競走のレースを走らされることになります。終わりがありません。
うつ病になったからといって人生のすべてが終わるわけではない。
本当は何を大切にしていきるべきなのか、しっかりと考える機会になるのです。
仕事についても、お金のためにやりたくない仕事をするべきなのか向き合う必要があるでしょう。
うつ病の原因が会社にある場合は、復職は難しくなります。
障害者手帳を取得して、病気に理解のある会社を探して自分のペースで働くことを目指すこともいいでしょう。
≫どうする?うつからの再就職! 障害者雇用に特化したエージェントに頼ってみよう
うつ病は確かに「病気」ですが、「1つの個性」として捉えてみると可能性が見えてきます。
まずは家族のあなたが患者を「病人」だと思わずに「1つの個性」として捉えてあげてみてはいかがでしょうか。
16.本人が嫌がらなければ、一緒に精神科を受診しよう
精神疾患は悪くなるとひどく視野が狭くなり、主観的になります。
主治医に対しても「きつい、つらい」といったネガティブなことばかり伝えてしまい、客観的な事実を伝えることが難しいんですよ。
患者として客観的な情報を提供する手段として、日記をつけたりブログを書いたりしてそれを主治医に見せることが良いのですが、誰にでもできるわけではありません。
もし、本人が嫌がらないならば、精神科を一緒に受診しましょう。
本人の体調の証言と、家族の客観的な意見があれば、より適切な治療が受けられます。
≫はじめて心療内科、精神科を受診するときに準備しておくとよいこと
≫3回転院して分かった! 相性の良い精神科医、精神科を見極める13のポイント
そのお気持ち、わかります(笑) わたしもはじめて受診するときは人生捨てるぐらいの覚悟でしたからw
ですが、内科とたいしてかわりゃしません。
内科よりも診察時の会話のキャッチボールが多いぐらいで、何も特別な空間ではありませんよ。
一度足を運んでみると、きっとこんな感想を持ちます。
さいごに:完璧にしようとしないで! 家族も人間なので、うまくいかないこともあります
この記事を書いているわたしはうつ病経験者であり、家族ともうつ病のわたしについてどう思うかと傷つきながら(笑)話し合ったりしてきました。
そんなわたしでも、仮に逆の立場になってここに書いてあることをすべて実行するのは120%無理です。
すべてを完璧にこなそうとすれば、それこそ家族がうつ病になってしまうでしょう。
できることからでいいので、意識してやってみてください。
家族がうつ病になってもそれほど焦る必要はありません。
たしかに難しい病気であることは確かですが…避けすぎ、構えすぎは家族の溝が深まります。
一番よいのは、主治医と患者本人、家族が連携をとることです。
ですが、実際に家族に診察に来てもらうのは患者にとってハードルが高いんですよねぇ。
プレッシャーをかけすぎないように、コミュニケーションをとりましょう。
うつ病は「完治」をどのラインに設定するかにもよりますが、時間がかかる病です。
焦りすぎると確実に失敗するので、とにかくじっくり進んでいきましょう。